▲ 死んだ豚の脳のタツノオトシゴ部位を蛍光物質で観察した写真。死後10時間が過ぎた豚の脳(左)と「BrainEx」で一部の脳細胞機能を回復させた脳。写真:ネイチャー

アメリカ科学者らが死後4時間過ぎた豚の脳を一部生き返らせるのに成功した。学界は今まで脳は4分以上血液供給が止まればすぐに脳死状態に入り、脳細胞は生き返らせることができないと信じてきた。

このような通説を覆した今回の成功は、脳の損傷・疾患関連治療法の開発に画期的な変化をもたらす見通しとともに『体と分離した脳』など倫理的な論争も起きている。

今回の研究を主導したアメリカのイェール大学のネナド・セスタン教授研究チームは死んだ豚の脳に人工血液を入れる方式で豚の一部の細胞機能を一定時間再稼働させることに成功したと18日明らかにした。

研究陣によれば死後4時間が過ぎた32匹の豚の死体から脳を分離した後、「BrainEx」というシステムで動脈に保存剤・安定剤、酸素などが含まれた血液のような特殊溶液を入れた。

その結果、豚の脳の一部の神経・血管細胞機能が正常化するなど正常な構造を取り戻した。 また、脳細胞を破壊する炎症反応が減る一方、神経細胞同士で信号をやり取りするシナプス反応も感知された。このような過程は6時間持続した。

しかし、認識や知覚のような高次元的な脳機能は再活性化できなかったというのが研究チームの説明だ。今回の研究成果は国際学術誌『ネイチャー』に掲載された。

ネナド・セスタン教授は「今回の研究で今後、脳卒中など脳の損傷·疾患によって停止した脳機能を回復させる治療法開発に寄与できるだろう」と述べた。

一方、一部では今回の研究に対する倫理的問題を提起している。体と分離したが、『生きている脳』を人格体と見なければならないのか、このような研究に対するガイドラインをどのように設定しなければならないのかなど論議の的を残したということだ。アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学のヒョン·インス教授はこの日、論評を発表し「人間の脳も復元することができるという期待感から、脳死者の臓器提供が減少する可能性がある」と懸念を示した。

（翻訳：SAORI記者）